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ハイエンドな”デジタルプロセッサー”なら、デジタル出力してみない?という話

先日オーディオインターフェースを新しくしてから、いろいろと遊んでたりするんですが、いろいろ新しくできることが増えたりして、とても楽しんでいます。
toy-love.hatenablog.com

ご存知のとおりというか、うちではギターのプロセッサーにKemperを使用していますが、これにはデジタルインプット・アウトプットがあります(Kemper Player以外)。

現在はこのデジタルアウトプットを使用してオーディオインターフェースに接続していますが、以前のアナログ接続のときと比べて格段に良くなった点があります。
それは、ヘッドルーム。ここで言うヘッドルームというのは、音がクリップするまでの余裕のことです。ギターアンプの場合は歪みやすさだったりするわけですが(基本同じ意味ですが、クリップして歪んでも良いギターアンプと、クリップが許されない録音環境という違いがあります)、単純にいうと、前よりもでっかい音が出せるようになりました。

まず、どう変わったのか聞いてもらえればと思います。

  • 以前の環境(Rig Vol -2.4dB/モノラル出力)


  • 新環境(Rig Vol +1.8dB/ステレオ出力)


音がぜんぜん違いますね。ちなみにこれはオーディオインターフェースはどちらもADI-2 Pro FS R Black Edition、デジタル出力です。

これは、Matchless C30のリグを用いたトーンです。隠密如陽炎 -オンミツハカゲロウノゴトク- を作ったときに使用したリグです。本番リグなのでかなり丁寧に調整されたリグです。
「以前の環境」は、このリグが前の環境用に保存されていたものをそのまま使い、以前の状態と同じ、モノラルL入力を使ったものです。
新環境の方は、現在の環境に合わせてRig Volを調整し直し、ステレオで録音したものとなります。


以前のオーディオインターフェースでは、Kemperからの出力がけっこう簡単にクリップしていたんです。このインプット3に接続したXLRケーブルがKemperからのアウトプットです。一般的なオーディオインターフェースのアナログ入力はマイクプリアンプを通したものをオーディオインターフェース内でAD変換され、USBからデジタルアウトされます。マイクプリアンプの音は別に使いたくなかったので、インプットボリュームを0にして使っていましたが、こういうクリーントーン系の場合は強く弾いたコードのとき、ハイゲイン系の場合はパームミュートの音がクリップしやすくなります。ヘッドフォンで音を出して、絶対にクリップしないようにRig Volを調整していました。
この音量はリグによって異なるので、実際のdBの設定値に意味はありませんが、以前の設定では-2.4dBに設定しないとクリップしてしまっていました。
今回、そのリグのRig Volを再調整したところ、+1.8dBでもクリップしない(もうちょっと行けそうでしたがそこまでシビアに調整はしてません)ようになりました。値そのものに意味はありませんが、相対的にどれだけ違うかは意味があります。アナログとステレオについては、以前も別にステレオで録ろうと思えば録れたんですけど、モノラルで十分だと思っていたんですよね。実際、「前の環境」の音は別に悪いわけではありません。でも比べると全然違いましたね。
ちなみにKemper本体のヘッドフォンアウトからの出力はステレオ出力になるので、その音に近づけたい場合はステレオで録る方が良いです。

アナログ/ステレオは良いとして、大事なのはこの「ヘッドルームが全然違う」という点。同じリグで4dB程度違いがあるというのは、運用が全く異なってきます。
アナログアウトとデジタルアウトについては、どちらが良い・悪いということはないんですが、デジタルアウトができるプロセッサーを使っているなら、せっかくだからデジタルアウトしてみませんか?というのが今回の話です。

  • デジタル入出力の種類

デジタル端子はいろいろ種類がありますが、一般的に使われるのは3つのタイプのシグナルがあります。1つはS/PDIFという規格です。ソニーとフィリップスが開発した規格で、SONY/PHILIPS Digital InterfaceでS/PDIFです。1本のケーブルでステレオPCM、またはドルビー6.1chまで転送することができます。
次にADATという規格。Alesisが開発した規格で、もともとはVHSテープに8トラックのデジタルシグナルを録音するためのものでした。VHSが使われなくなった現在もデジタルの転送方法として一般的に使用されています。
そして、業務用機器で最も使われるのがAES/EBUという規格です。Audio Engineering Society / European Broadcasting Unionの略で、オーディオ技術者協会と欧州放送連合によって規格とされたものです。XLRケーブルを用いるもので、データ転送にS/PDIFと互換性のある方式です。

ちなみに業務用としては1本のケーブルで64ch転送するMADIやオーディオと通信を両立させたDanteといった大規模なシステムに対応したものもあります。自宅ではまず使わないと思います。

  • コアキシャルとオプティカル

S/PDIF規格は、コアキシャル(同軸)とオプティカル(光学)ケーブルの2種類の転送方法があります。オプティカル端子はADATと形状が同じで、端子を共有させることができますが、データとしては全く異なるので本体側でどちらを送受信するかを設定する必要があります。

  • デジタルアウトは音が硬い?

そういうレビューを見ました。個人的にはそんなことはないというか、アナログアウトの場合、その後に接続される機器(オーディオインターフェースならマイクプリアンプなど、またその後のAD/DA)によって音が変わったりするので、それに慣れていると、より明瞭なデジタルアウトで音が硬く感じたのかなと思ったりします。
多くのマルチエフェクターには、「オーディオインターフェースとして使えるUSB端子」が付いていますよね。その音はマルチエフェクターからPCに直接デジタルアウトしているわけですので、要はその音をPCではなくオーディオインターフェースに出力して使える、というのがデジタルアウト端子ということです。なのでそんなに珍しい話ではないです。ただ、オーディオインターフェースに出力できることで運用の柔軟性が高くなるという感じですね。


と、前置きしたところで、Kemper以外にデジタル入出力ができるギタープロセッサーをまとめました。

Fractal Audio Systems


ラックモデルのAxe-Fx IIIはS/PDIFとAES/EBUの端子を備えています。



その他のフロアタイプは全てS/PDIF端子を備えています。(FM3はS/PDIF OUTのみ)

Line6


HELIXのラックとフロアにはS/PDIFとAES/EBUの端子を備えています。
HELIX LTはAES/EBUのみ(L6Link共有)となります。HXやPODシリーズには搭載されません。

以上です。Quad CoretexTone Master ProHeadrushシリーズをはじめ、他のマルチエフェクターにはデジタル端子はありませんでした。

  • S/PDIFデジタル端子のあるオーディオインターフェース(実売20万円まで)

こうして見ると、ギタープロセッサーでデジタルアウトはだいたい、S/PDIFがあればカバーできる感じです。S/PDIF端子は全てコアキシャルでしたので、オプティカル端子の場合はAT-HDSL1のように、コアキシャルとオプティカルを変換する機器が必要であることに注意です。AES/EBU端子を備えたオーディオインターフェースはけっこう少なかったです。
ということで、S/PDIF対応のオーディオインターフェースをいくつかまとめました。デジタル端子があるオーディオインターフェースは基本的に上位モデルだったり、サウンドにこだわりがあるモデルも多いので、オーディオインターフェースのアップグレードに興味があるなら、そのついでにデジタル対応してみても面白いのかもしれません。
なお、同じシリーズで入出力端子数が異なるものがある場合、最もコンパクトなモデルを載せています。あと自宅用ということでラックタイプは載せていません。上位モデルだと端子がいろいろ増えてくるので、実売20万円クラスまでで載せます。

Native Instruments KOMPLETE AUDIO 6 MK2


最も手頃で、多彩な入出力も備えたオーディオインターフェースです。

Focusrite Scarlett 8i6 (gen. 3)


世界的に定番のオーディオインターフェース、Focusrite Scarlettの8IN6OUTモデル。このモデル以上でS/PDIF端子が装備されます。

Audient iD14mkII


マイクプリアンプやD/A機能にもこだわって音質も高いと人気のAudientオーディオインターフェースです。S/PDIF対応ですがオプティカル専用のため、コアキシャルからは変換機器が必要となります。

Black Lion Audio Revolution 2x2


個人的に、オーディオインターフェースのアップグレードとして今一番熱いんじゃないかと思うのがこのモデルです。もともとオーディオインターフェースのモディファイを多く行ってきたBlack Lion Audio。マスタークロックやスタジオ機器なども制作しています。質実剛健な感じのデザインもシンプルにまとまった機能もかなり良さそうです。

Arturia AUDIOFUSE 2


コンパクトサイズに多彩な接続をまとめ、機能性とサウンド面も充実させたオーディオインターフェースです。

Presonus QUANTUM HD 2


Fender傘下となってたPresonusのオーディオインターフェースの上位モデルです。機能性も高く、サウンドにもこだわった作りのモデルですね。

Focusrite Clarett+ 4 Pre USB


Focusriteの上位シリーズ、Clarett+のオーディオインターフェースです。同シリーズ最小モデルはADATのみとなるため、このモデルからS/PDIFが付きます。機能も高く、使いやすいハイクオリティオーディオインターフェースですね。

MOTU UltraLite mk5


ハイクオリティなオーディオインターフェースを長年制作するMOTUのオーディオインターフェースです。多彩な入出力を備えていていろいろ使えるモデルですね。

RME Babyface Pro FS


ハイエンドなコンパクト・デスクトップタイプのオーディオインターフェースの定番モデル、Babyfaceです。デジタル系ではADATまたはS/PDIFに対応していますが、オプティカル端子のためコアキシャルS/PDIFは変換機器が必要となります。

Antelope Audio Discrete 4 Pro Synergy Core


ハイエンドオーディオインターフェース系の定番ブランドの1つ、Antelope Audioのオーディオインターフェースです。サウンドクオリティ、機能などは使いやすそうなモデルです。あとやっぱAntelope Audioのデザインは個人的に好きです。

APOGEE Symphony Desktop


Antelope Audioと並んでハイクオリティオーディオインターフェースの定番、APOGEEのコンパクトデスクトップモデルです。RMEのクリアな音に対し、Antelope AudioとAPOGEEは温かなトーンと言われますね。機能性やサウンドクオリティは言うまでもない感じです。

ということで、手頃なモデルからハイクオリティモデルまで、オーディオインターフェースも載せてみました。
なんか勢いで書いた感じなんですけど、こういう使い方も面白いということで、デジタル端子のあるプロセッサーを使っている人はオーディオインターフェースもいろいろ検討してみると面白いのではと思います。
 
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