この間のUTOPIA詳細情報の評判がよかったので、調子に乗ってFloorPodについても書いてみたいと思います。このFloor Pod、試したわけではないのですが、実際に楽器屋さんで現物を見てきましたのでその印象もふまえて書きたいと思います。
このペダル、Line6が年末に向けて投入したペダルですが、これまでハイエンド志向というか、常にバージョンアップ、上昇志向でやってきたPODシリーズでは初のエントリーモデルということになります。(従来のPODには上位モデルとしてラック式のXT PROがありましたけどね)
エントリーモデルといっても、XTの登場する前から既に高い評価を得ていたPOD2.0に近いモデリング技術を使っていて、たしかにXTのある現在では下位機種ということにはなりますが、サウンド的に未熟であるとか、手抜きであるようなことはないと思います。
ではまずスペックから見てみましょう。
- スペック
まずはPODシリーズの売りともいえる、アンプモデルです。このFloor Podには12種類の厳選されたアンプモデルが搭載されています。ギターアンプに接続しての使用を念頭に置いているようで、キャビネットモデルは装備されません。たしかにギターアンプに接続する際にキャビネットモデルを入れてしまうとこもった音になってしまいますからね。
搭載されるアンプモデルは以下の通りです。
- アンプモデル
モデリング名 | オリジナルアンプ名 |
Modern Hi Gain | Soldano X88R |
Line6 Insane | Line6 Original |
TreadPlate | Mesa-Boogie Dual Rectifier Tremoverb |
TreadPlate#2 | Mesa-Boogie Dual Rectifier Head |
Line6 Crunch#2 | Line6 Original |
Brit Hi Gain | Marshall JCM800 |
Fuzz Box | Arbiter Fuzz Face through a poweramp |
Brit Classic | Marshall Plexi |
Boutique#3 | Budda Twinmaster |
Brit Class A | Vox AC-30 |
Black Panel#2 | Fender Blackface Twin Reverb |
Line6 Clean | Line6 Original |
まず、これらは、CLEAN / CLASS A / CLASSIC / Hi GAIN / TreadPlate / INSANEに別れ、それぞれのモデルの中に2種類ずつアンプモデルを入れる、という分け方になっています。
それではそれぞれについて見てみましょうか。
- CLEAN
- Line6 Clean
こちらはLine6のオリジナルによるクリーンアンプです。オリジナルアンプって基本的に評価が高いんですよ。この機材に合わせた音ですから当たり前なんですけどね。
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- Black Panel#2
FENDER TWINREVERBのモデリングですね。Fenderらしい高域が伸びる特徴をとらえていると思います。サンプルサウンドを聞いた感じ、よかったですよ。
- Class A
- Brit Class A
VOX AC30のモデリングです。AC30はやや中低域が強調される、どちらかというと古いブリティッシュロックをイメージさせる音が特徴ですね。
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- Boutique#3
Budda Twinmasterですね。オリジナルは音の汎用性こそ低いものの、中域をちょっと持ち上げた「おいしい音」を出してくれる素晴らしいアンプですが、そのニュアンスがどこまで出せるのか見ものです。
- CLASSIC
- Brit Classic
MarshallのPlexiサウンドをモデリングしたものですね。Plexiサウンドは、それ単体で高価なエフェクターがいくつも出るほど人気のサウンドですが、このFloor Podはどうでしょうね。
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- Fuzz Box
ArbiterのFUZZ FACEを直接パワーアンプに繋いだサウンドをモデリングしています。数あるアンプモデルの中からわざわざこれを搭載したというのは非常に興味深いですね。相当自信のあるサウンドなんでしょうね。
- Hi GAIN
- Brit Hi Gain
Marshall JCM800のモデリングです。80年代に極上のサウンドを聞かせてくれたアンプですね。もともと人気のあったMarshallですが、この機種でその地位は不動のものとなったといってもいいほどのベストセラーモデルですね。
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- Line6 Crunch#2
オリジナルのクランチアンプです。ハイゲインなのにクランチとはこれいかに?まぁ、確かに現代のハイゲインアンプから見るとクランチですが、JCM800とかの時代なら十分ハイゲインですけど・・・。他に搭載するチャンネルがなかった可能性がありますw
- TreadPlate
- TreadPlate
このTreadPlateは、MESA/BOOGIE専門チャンネルです。こちらはTremoverbという、Rectifierの中でも、ブルース等に向いたモデルですね。Rectifierと聞くと、すぐさまハイゲインな重厚ディストーションをイメージしてしまいそうですが、そういうのだけじゃないんです。
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- TreadPlate#2
こちらはまさにレクチサウンド、Dual Rectifier Solo Headのモデリングです。重圧、重厚な歪みがながら潰れず音抜けがいいサウンドですね。モデリングでどこまでせまれるんでしょうか。
- Insane
- Line6 Insane
オリジナルのハイゲインタイプです。Insaneというだけあって、狂気のサウンドが楽しめそうですね。
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- Modern Hi Gain
気持ちのいいハイゲインサウンドに定評のある、Soldano X88Rのモデリングです。ブギーのもつダークさとは対照的な、明るいめのサウンドが特徴のアンプですね。
こうして見てみると、本当に人気投票の上位を集めたかのようなラインナップですね。「厳選」という言葉にうそはないと思います。それでは搭載されるエフェクトを見てみましょう。
エフェクト名 | スマートコントロール |
Phaser | |
Chorus | ○ |
Flanger | ○ |
Tremolo | ○ |
Delay | ○ |
Sweep Echo | ○ |
Reverb | ○ |
Compresser | |
Noise Gate | |
Distortion Boost | |
Wah |
まずスマートコントロールについて説明しますが、対して特別な機能ではありません。右上のツマミがそれに相当するのですが、それぞれ1/3ずつがエフェクトの効き具合になっている、というものです。見ての通り、レベルコントロールやトーンコントロールの必要がないエフェクトに割り当てられていますね。感覚的に調整が可能ですが、逆にエフェクトを細かく設定して音を作りたい、という方にはオススメしません。
さて、プリセットされたエフェクトも一般的なものばかりですね。特に「これは!」というものもありませんが、足りないものもない、といった具合です。
次は、インプット/アウトプットを見てみます。
ステレオアウト、ヘッドフォンアウト、Aux端子と、最低限ながら十分なものを備えていますね。
- 見てきた感想と総評
まず楽器屋さんで見てきた感想からいきます。第一印象は「小さい」でした。なんだかアクの強い形に見えますが、実際はそれほどではありませんでしたね。非常に小さく、持ち運びには最高だと思います。ペダルの感じも、プラスチック感は否めませんが、それほど安っぽい感じではなかったですよ。音の方は試していませんのでなんともいえませんが、POD XTを期待するとガッカリするかもしれませんね。しかし、ZOOM G1やG2からのステップアップにはよさそうです。このクラスとしては、POD2.0レベルのアンプモデルは非常に高品質ですので、安くて持ち運びのできるアンプモデラーとしての使い方や、気軽にあちこちに持っていくプリアンプとしての使い方に向いていると思いました。今までV-AMP 2の領域だったこのクラスのアンプモデル、そのうえフロア型ということもあって、こういったエントリークラスのアンプモデラー市場は、今後加熱していきそうに思います。そうしてまたさまざまな商品が出てくることを楽しみにしたいですね。このFloor Podがその火付け役となるのではないか、と思います。