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BOSS OD-3 OverDrive

今日は記事をお休みしようかと思ったんですが、お正月にも関わらず、多数の方が見てくださっていることが分かって、やはり書こうと思いました。
というわけで、今回は現代のBOSSのコンパクト歪み系の中でフラッグシップ的な位置づけにあるBOSS OD-3 OverDriveを見て行こうと思います。OD-3といえば、BOSSにおいてはOD-1以来の、「Over Drive」の名前のついたモデルとして有名ですね。それではいきましょう。

BOSS OD-3

BOSS OD-3

  • OD-3の評価

新開発のデュアルステージ・オーバードライブ回路を搭載。一段ときれいな倍音。少ない歪みでもより粘りのあるサステイン、太い低音といったオーバードライブへの理想のすべてを徹底追求。これが次世代のOD。

ちょっと謳い文句を引用してみました。
まずは、このOD-3についてよく言われる評価を、この謳い文句と比べてみていきましょう。

    • ブースターとして使いやすい

これはいろいろな雑誌にも書いてありますね。「少ない歪みでもより粘りのあるサステイン」という部分が特に影響しているように思います。実際、ブースター的に使うと、SD-1やTS9とはまた違った、しかしマイルドなオーバードライブサウンドになります。中低域がより強調されますね。

    • 低音が太い、またはこもる

まさに「太い低音」という部分についてはそのままな評価を得ていますね。しかし、ギターやアンプ等のセッティングによっては、ちょっと太すぎるというか・・・こもってしまうという傾向も見られるようです。これは機材や好みによるものですね。

    • 低音弦の艶がない

上の「低音がこもる」と並んで書かれることが多いですが、これは相対的なものだと思います。低音がこもるというより、高音弦が非常にブライトなんだと思います。「一段ときれいな倍音」という部分の話ですね。高音弦がブライトで音抜けがいい分、低音弦の太い部分がこもって、音抜けが悪く聞こえてしまうのではないでしょうか。
 
と、BOSSの謳い文句、あくまで営業用なので悪いことは書かないのは当然ですが、しかし相当、的を射た文章ではないかと思いますね。ただこもるだけの音を「中域に密集」とか書いてしまうヒドいキャッチコピーもありますからね・・・。
 

  • 内部回路

ではちょっと中身を見てみましょうか。裏蓋をはずします。

おぉ、詰まってる詰まってるw
BOSS筐体ってMXRサイズよりでかいんですよ。それにもかかわらず、それ全体を覆うほどの大きな基盤に、これでもかというほどつめこまれた部品点数は、他社には真似できないですね。MXR2コ分のサイズのケースが必要でしょう。あ、IbanezやMaxonならできるか・・・w



こちらがOD-3の基盤です。部品点数ももちろんですが、なによりトランジスタが15コ!も付いています。いくつかはバッファアンプ用、いくつかはLEVEL等の調整用だとは思いますが・・・それにしても多いですね。BOX OF ROCKの記事での内部写真では、トランジスタが3コでしたから、比べるとその多さに驚きます。そういえばZ.VEX BOX OF ROCKもopampを使わないディスクリート回路でしたが、このOD-3もディスクリート方式による歪みペダルです・・・ただ、一度だけopampを通ります。



こちらがそのOPAMPです。BOSSお得意の三菱製M5218ALですね。BOSS MT-2 Metal Zoneや、BOSS BD-2にも使われている、SIP(端子が直線に並んでいるタイプ)のオペアンプです。BD-2もディスクリートですが、同じopampを使っていることから、このOD-3が「BD-2っぽい」という評価を得る原因となっているのかもしれません。このopampの特徴は、ローノイズで、中低域を強調する、とのことですが、これがOD-3の太い低域に影響を及ぼしている可能性もあります。ただ、歪みを作る部分には使われていないので、ニュアンス的なものだとは思いますが・・・。
 
ところで、ボス・ブック―究極のコンパクト・エフェクター大全 (シンコー・ミュージック・ムック)という本をご存知でしょうか?BOSSのエフェクターに特化した非常にマニアックな本ですが、これを以前本屋で見つけて読んでみたことがあります。OD-3の開発秘話、という部分で、面白いことが書かれていました。
このOD-3は、実は多大なトライ&エラーを重ねて作られたもので、BOSS内部でも、この回路の複雑な仕組みを理解しているのは開発関係の部署を担当する人だけだったそうです。過去形で書いたのは、現在ではおそらく社内での説明とかもされているでしょうし、解析もされていて、きちんと理解している方も多いと思うからなのですが、電気回路と音の関係を相当理解していないと、回路だけを見てすぐにその働きを見極めるのが難しい、というほどの構成なんだそうです。OD-1やSD-1が非常に単純な回路構成だったことを考えると、同じ「OverDrive」の名前がついていても、全く別物であることは明らかですね。BOSSの人は、そこで「これが現代のオーバードライブ」だと話しています。「デュアルステージ・オーバードライブ回路」の意味を考えると、往年の名機、OD-1がopampで一気に増幅し、ダイオードでばっさり波形を切り取ったコンプレッションのかかったサウンドに対して、このOD-3は、2段階の増幅回路で徐々に徐々に増幅していく、という意味ではないかと思います。そして昨今の考え方では、この多段増幅方式がオーバードライブの理想系といわれていますね。
問題はそれだけ多数の部品を通るので、エフェクトON時に音が痩せてしまう可能性がありますが・・・そこは高品位なパーツを使うか、何らかの工夫を施す必要がある、という点ですね。BOSSのコンパクトペダルで、定価が2万も3万もしてしまうと売れませんから、そのあたりにこのOD-3は部品のコストを抑えながら、何らかの工夫がなされているのだと思います。どういう工夫かって?私には回路図を見ても分かりませんw
 

  • サウンドレポート

それでは実際に使用してのレポートを書いてみます。まずよく言われる低域部のヌケの悪さですが、これは特にコードを弾いたときに現れてくるように思います。非常に低域が太いのはたしかなので、ミュートでの刻みには非常に適しているのですが、特に4〜6弦でのパワーコードをミュートせずに使うときなどには、すこしこもり感がありますね。ただ、全体の弦を使った開放弦コードなどでは、高域でのブライトさと、低域の太さがあいまって、非常にスピード感のある音になります。これは気に入っています。
また、サスティンと粘り気がかなりあるので、1〜3弦を使用するアルペジオなどでは威力を発揮します。倍音が豊かな音ならではの、和音を弾いたときの揺れ感や、水分を感じるような粘ったサウンドは非常に得意です。これは実際、値段を考えるとよくできていますよ。他社の銅価格帯のペダルと比べると、BOSSらしい、一段上のサウンドとなっています。あくまで「BOSSの音」ですけどね。
 

  • 総評

このペダルは、非常によくできたペダルだと思います。現代とは解析やノウハウがあきらかに違うので、この仮定に意味はありませんが、もしもこのペダルがOD-1だったとしたら、現代におけるオーバードライブの構図は全く違ったものとなっていたのは間違いありません。OD-1が伝説となったのは、先駆者的な意味と、当時の相対的なエフェクト評価によるものが大きいと思います。現代では、価格に糸目をつけずに開発されたハンドメイドのハイエンドドライブペダルが多数溢れていますので、どうしてもそういったペダルとこのOD-3を比べると、使用している部品が違いすぎて、「ハイファイ感」に差が出てしまいます。ですから、そういったハイエンドなペダルとの相対的な評価が低くなってしまうのは当たり前なんですね。ま、これは現代のMXR製品やIbanez製品に対するものも同じですけど。そういう、相手が全く違う相対的な評価をもとにして、昔のBOSSは、とか、BOSSはオールドじゃないと、とか言っているとしたら、それは全く意味のないものですし、ナンセンスなことだと思います。(まぁ、中古品を高く売るためにプレミアをつけたり、という事情もあるとは思いますが)
私は別に、ヴィンテージを否定する気はありませんし、またヴィンテージエフェクターにしか出せないサウンドがあるのも当然だと思います。部品が違うんですからね。そういう音を求める人は、当然ヴィンテージなものや、忠実に再現されたものを評価するのは当たり前です。ですが、ただただそういう評価に流されることなく、一度現代の新しいエフェクターにも目を向けてみるのはいいことだと思います。
ちょっと考えすぎかも知れませんが、この、OD-1と同じ「OverDrive」の名前が付けられたOD-3は、歪みエフェクターというものの新しい見方を教えてくれるものなのかも知れません。



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