デンマークの名門音響ブランド、t.c.electronicから、NAMM SHOWで出展されたギター用コンパクトエフェクター3種が発売されます。発売日は3月1日!
それでは、その詳細をみていくことにしましょう。
今回発表されたのは「Classic Pedalシリーズ」という新たなシリーズに属するモデルです。これまで、「Vintage Pedal シリーズ」というモデルが出ていましたが、それとはまた別のシリーズですね。Vintageシリーズでは、いわゆる「Vintage」とよばれる機材によって作られるサウンドを現代の技術で再現する、というコンセプトのものでしたが、この「Classic」シリーズは、70年代にt.c.electronicが発表し、衝撃を与えたペダルのリイシュー、すなわち復刻版のようです。
一つだけ注意をしていただきたい点があります。これはtcの日本における公式ページの解説をそのまま載せている販売店さん全てに共通するのですが、「4/8/12kHzのフィルター切り替えスイッチを搭載」となっていますが、間違いです。公式ページが間違ってしまってるのでそうなっているのですが、実際これでは意味が分かりませんよね。4kHzや12kHzはギターには出せない高音なわけでして、こんな帯域をフィルターしても全く意味がありません。(倍音構成は変わりそうですが)一応、TCJapanさんには問い合わせてみましたので、返答がありましたらこちらに追記の形で報告します。
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- 追記;公式ページの説明文は訂正されました。各販売店さんの説明文に関しては分かりません。
さて、これはフェイザーの段数切り替えです。以前こちらでも解説したとおり、フェイザーの回路は「オールパスフィルタ」というフィルタを複数段組み合わせてコムフィルタ的な効果を生み出しています。このフィルタ切り替えスイッチの意味するフィルタとは、このオールパスフィルタのことで、それが4/8/12段の切り替えが可能、ということですね。
ちなみにこの元となった機種は、「非常に広いレンジを持つフェイザー」として、ToneLabでもモデリングされていました。伝説的な機種だけに、復刻はうれしいですね。
このペダルは、Sustainが非常に長く設定でき、それにともなうノイズを低減する意味でノイズゲートがついているようですね。とはいえ、ノイズゲートはサスティンを減少させてしまう効果もありますので、このあたりの調整は非常に重要となってきそうです。技術者の試行錯誤を思わせるペダルですね。
t.c.electronicといえば、今ではラックエフェクターが中心となっていますが、非常に高い技術とそのサウンドで、登場して間もなくプロのアーティストやエンジニアの間で使われだしたという、現代においてはFulltoneのような高級機器のまさに先駆け的存在です。その歴史の始まりともいえるこれら3種類のペダル、試してみてはいかがでしょうか?