先日レビューしたBOSS OD-1Xに続いて、同時発売されたBOSS新作ディストーションペダル、BOSS DS-1X Distortionをレビューしたいと思います。
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BOSS DS-1X Distortion
こちらが、BOSS DS-1Xです。OD-1X同様、スペシャルエディションとして作られたペダルですね。
OD-1X同様、全体にラメっぽいキラキラする塗装と、鏡面加工のプレート、そしてコントロールノブと銀ネジが特徴です。
そしてOD-1X同様、BOSSの新しいスタイルのボックスに入れられています。こちらも5年保証になっていますね。
コントロールはLEVEL、LOW、HIGH、DIST。こちらもOD-1Xと同じです。ゲイン調整がDISTとなっているのは、DS-1譲りですね。
そして、銀ネジ。こちらももちろん装備しています。
銀ネジにはワッシャーが入れられ、ペダルを守っています。
内部はこのとおり。BOSSデジタルペダルらしく大きなDSPと、多数のコンデンサ、そして実装パーツで構成されています。
ちょっと、OD-1Xと比べてみます。
基板の形を見ての通り、両モデルとも、中身はおそらく全く同じです。DSPの処理で、違ったペダルとして作られているようですね。
そして、オリジナルDS-1です。こちらは1981年9月製造のモデルです。1980年ごろに銀ネジがサムスクリューに変わったということなので、こちらはサムスクリューになったばかりの時期のモデルですね。裏蓋の説明には銀ネジ時代と同じ「コインネジ」表記が見られます。
裏蓋の違い。左がDS-1Xです。かつてのモデルに比べ、ずいぶんすっきりとしました。
年代を超えた基板の違いです。OD-1Xでも見ましたが、こうしてみると時代を感じますね。
DS-1の内部です。
筐体自体はすでに81年の時点で完成されていました。小さな違いはありますが、ほぼ変わっていません。素晴らしいことです。
では、写真はこんな感じで、レビューいってみましょう。
- 操作性
試奏レポート、そしてOD-1Xのレビューでも書いたとおり、BOSSらしくスタンダードで非常に扱いやすいペダルです。スペシャルエディションのノブだけ、ちょっとだけ見づらいこともありますが、それは仕方ないですし、デザインとして意味のあるものですから良いと思います。
- サウンドレポート
では、音について。まずはいくつか音色を載せてみます。
サンプルサウンド1(Medium Gain)
全ノブを12時にしてのサウンドです。
(聴けない場合はこちら)
- 録音環境
ギター:Fender USA American VIntage 57 Stratocaster リアPU
アンプ:Koch Classic SE C-SE6C クリーンセッティング
セッティング:Level:12:00、Low:12:00、High:12:00、Dist:12:00
サンプルサウンド2(High Gain)
Distをフルアップにしてのサウンドです。
(聴けない場合はこちら)
- 録音環境
ギター:Fender USA American VIntage 57 Stratocaster リアPU
アンプ:Koch Classic SE C-SE6C クリーンセッティング
セッティング:Level:12:00、Low:12:00、High:12:00、Dist:Full Up
サンプルサウンド3(Full-Up)
Level以外をフルアップにしてのサウンドです。
(聴けない場合はこちら)
- 録音環境
ギター:Fender USA American VIntage 57 Stratocaster リアPU
アンプ:Koch Classic SE C-SE6C クリーンセッティング
セッティング:Level:12:00、Low:Full Up、High:Full Up、Dist:Full Up
サンプルサウンド4(Low Gain)
ローゲインサウンドです。
(聴けない場合はこちら)
- 録音環境
ギター:Fender USA American VIntage 57 Stratocaster リアPU
アンプ:Koch Classic SE C-SE6C クリーンセッティング
セッティング:Level:12:00、Low:Full Up、High:Full Up、Dist:Minimum
サンプルサウンド5(Response)
DS-1Xのレスポンスです。
(聴けない場合はこちら)
- 録音環境
ギター:Fender USA American VIntage 57 Stratocaster リアPU
アンプ:Koch Classic SE C-SE6C クリーンセッティング
セッティング:Level:12:00、Low:Full Up、High:Full Up、Dist:10:00
ギターヴォリューム 5→10
サンプルサウンド6(EQ)
EQを絞った音色です。
(聴けない場合はこちら)
- 録音環境
ギター:Fender USA American VIntage 57 Stratocaster リアPU
アンプ:Koch Classic SE C-SE6C クリーンセッティング
セッティング:Level:3:00、Low:9:00、High:9:00、Dist:10:00
6つほどサウンドを載せてみました。
OD-1X同様、DS-1Xも、ノブを全て12時にすればペダルそのものの特性がよく分かります。歪みの特性、ダイナミックレンジ、レスポンス、そして奥行きや立体感、そして音の抜け方など、全ての要素が高次元なペダルです。
EQはフルアップにすればまさにオープンなサウンド。クリーンブーストとはいきませんが、クランチからハイゲインまで、幅広いゲイン設定が可能です。このサンプル、ストラトで録っていますが、57ストラトはどちらかというとゲインが低めなので、ハイゲインなギターを使えばさらに高いゲインが得られると思います。
逆に、EQを絞ればラジオで音を聞いているような音色にもできます。EQ設定が非常に幅広い分、ここで大きく音量が変わるので(サンプルはDAW側で調整しています)、その設定さえ注意すれば非常に多彩な歪みをこのペダル1台で作ることができます。
レスポンスも高いです。いわゆるトランスペアレント系のオーバードライブだったり、またOD-1Xと比較するとそこまでではありませんが、これだけのゲインを作ることの出来るディストーションとしては十分に高いレスポンスで、ギターヴォリュームなどでゲインを調整できます。
そしてなにより、音が前に出て来る。この特性はOD-1Xと同じなんですが、これは素晴らしいです。和音と単音で音の厚みや音抜けがほとんど変わらないので、スムーズにバッキングからリードへ移行できるというのはさすが。特に1弦でも音が細くならないというところは本当にすごいと思います。これがMDPの実力ということかもしれません。
ノイズも十分に少ないですが、ゲインを上げればけっこう出ます。OD-1Xと比較すると、基本的にペダル構造が同じでありながら全体的なゲインが高いためか、ノイズも比較すれば多めとはなりますが、十分に抑えられていると言えそうですね。
さて、以前の試奏レポートでは、このペダル、DS-1っぽいと書きました。
実際どうか、比較してみます。
サンプルサウンド7(DS-1 VS DS-1X)
OD-1ブーストセッティングに近づけてみました。
(聴けない場合はこちら)
- 録音環境
ギター:Fender USA American VIntage 57 Stratocaster リアPU
アンプ:Koch Classic SE C-SE6C クリーンセッティング
セッティング:
・DS-1:LEVEL:12:00 TONE:12:00 DIST:12:00
・DS-1X:Level:12:00、Low:8:00、High:12:00、Dist:9:00
前半DS-1→後半DS-1X
がんばって似た音を作ろうとしましたが・・・聴いての通り、違いますね。似ていると思ったのはカン違いでした。
DS-1はよりジャリっとしてファズ的な要素もある音色なのに対し、DS-1Xはまとまりがあり、粘りもあるオーバードライブに近いタイプのディストーションと言えるかも知れません。もっとハイを上げると、ジャリっとした感じは出るには出るんですが、ゲイン自体もかなり上がってしまうのでまた違った音になります。ただDS-1Xの方が明らかに音が前にでますね。DS-1の音も良いですし、この音だからこそできることももちろんあるんですが、単純に音抜けや聞きやすさを考えると、DS-1Xの方がより一般的に使いやすいと言えるのではないかと思います。
それにしても、このOD-1XとDS-1Xのシリーズ、そしてMDPというテクノロジーの可能性。とんでもないですね。
デジタルとアナログ、どちらが優れているかといった事は言えませんが、こと歪みに関してはアナログの方が好みだという人が多かったのも事実だと思います。
しかしここ最近はその事情も変わってきています。ハイエンドなモデルではAxe-FxやKemperといったモデルも出てきていますし、そこまで行かなくてもPOD HDシリーズも評判は良かったと思います。アンプのモデリングに関しては、デジタルもかなり認められつつあった中で、今回のBOSSのOD-1XとDS-1Xの登場により、デジタルの歪みも非常に高いレベルになってきていることは明白と言えるでしょう。
だからといってアナログが無くなるかというと、それもまた違うと思います。そもそもアナログ、デジタルと分けたところで、その中に入るペダルが無数にあり、作れる音が無限大にある以上、アナログだから、デジタルだから、ということでエフェクターを論じるのは間違っているんでしょうね。
個々のペダルの持つ特性を考えた上で、そのペダルが作ることのできる音色が自分にとって必要かどうか。そしてまた自分の世界を広げてくれるかどうか。そこに注目すべきだと思います。その答えはそれぞれ違っているとは思いますが、今回のDS-1Xはその候補として考えるに値する実力と操作性、扱いやすさを兼ね備えたペダルとなるのではないでしょうか。是非、試してみて欲しいと思います。すごいです。これ。
サンプルムービー
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