なんとも「安物感」のただようショッキングピンクの外装・・・「なにこれ?」と思われた方もおられるかもしれません。
今回は、このペダルのレビューをしてみたいと思います。
当サイトからリンクさせていただいている、エフェクターバカB級blogさんが、最近キーボードの不調でお休みされていたのですが、復活されました。今回の主役、「Proco BRAT」はそのブログの管理人、なかぞのさんにいただいたものです。
9月初め、なかぞのさんが大阪にいらっしゃるということで、お会いすることになったんですね。なかぞのさんの大阪遠征については、ミナミ編とキタ編で詳しく、そしておもしろく書かれていますので、そちらでお読みになってください。大阪の楽器屋さんに行ってみようという方にも参考になるのではないかと思います。
で、そのときに、大阪のご案内役をさせていただいたんですが、それでいただいたものです。大変ありがたい!(ちなみになかぞのさんは、そのあとまたBRATを新しく購入されたそうです。なんか悪いことしたなぁ。)
Proco BRAT
こちらが、そのBRATです。Procoの歪み系といえば、やはりPROCO RAT-2を中心とするRATシリーズなわけで、他にもYOU DIRTY RATやDeuceTone Ratといったペダルが現在もリリースされています。
過去にも、「ラック型のRAT」や、有名な「RAT-1」などがありましたが、今回ご紹介するBRATもそんなRATファミリーの一員です。ちなみに「BRAT」とは、「若造」とか「生意気な」とかいう意味です。
BRATのコントロールは一般的で、VOLUME、TONE、DISTORTIONとなっています。RATのように、TONEが逆回しでFILTERとかかれていたりしません。
このペダルは、アメリカにあるGuitar Centerという大手楽器店が、そこのオリジナルペダル「Roadkill」として販売されたのが最初だそうです。しかもベース用の歪みとして・・・w
そして、あまり売れなかったのか、Procoのブランド力を使い、こんどは同じ回路をギター用として、RATファミリーの廉価版で売られたのがこのBRATということですね。日本に正規輸入されていたのかどうかは分かりませんし、廃盤になっていますが、中古品やヤフオクでたまに売られています。
以前楽して音楽のオヤジさんがODBに音源をUPしてくださった際に作った特設ページもありますので、そちらものぞいてみてください。
では、中身を見てみますね。
こちらが基板です。ODB特設ページにあるオヤジさんのものとは基本的に同じなんですが、電池を置く場所などで微妙に変更がみられます。回路は同じみたいですね。フットスイッチは1回路(?)のすごく単純なスイッチです。
OPAMPはRAT2等と同じLM308Nです。(最新の現行RAT2ではLM308Nは使われていないそうです)
基板裏側です。何か、「FOLLOW YOUR DREAMS」という言葉や、INPUT/OUTPUTのジャックの位置にはそれぞれTAKE/GIVEの文字、さらにVOLUME、TONE、DISTORTIONのツマミの位置にはDETERMINATION、IS、STRENGTHと謎の言葉が書かれています。もしかするともともとの「ROADKILL」ではその文字が筐体にも書かれていたのかもしれませんね。
しかしFOLLOW YOUR DREAMSかぁ・・・もう明らかに初心者の方向けに作られたペダルという感じがしますね!
筐体は独特な形状をしていて、「箱」を使わず、板を組み合わせて箱型にしているという形です。分解するとこんなにバラバラになりますw
では、サウンドの方を見てみましょう。
- 操作性
基本的なコントロールで、何も迷うことはないと思います。1回路の単純なフットスイッチは、音質面はともかくとして、まるで電子式のように軽くて踏みやすいです。
- サウンドレポート
まずはサンプルをいくつか録ってみましたので載せてみます。
サンプル2
VOLUMEをちょっと上げぎみにして、TONEとDISTORTIONを12時の位置にしたサウンドです。サンプル1はテレキャスのヴォリュームを7、サンプル2はヴォリューム10です。
基本的に軽く明るい音の歪みで、意外と低域もあり、使える音なのかもしれません。反応性も悪くはないように思います。ちょっと音が薄っぺらく感じることもありますが、バンドであわせるとそれがいい方向に働くかもしれませんね。ソロ向きというより、バッキング向きといえそうです。
各コントロールはちょっと使いにくさもあります。まずVOLUMEですが、全体的に小さめです。なかぞのさんは迷わずフルテンにして使っておられました。TONEですが、「上げる」方向にはあまり問題ないですが、下げても音はさほど変わりません。さほど幅の広いものではないようです。DISTORTIONコントロールは、9時あたりから急激にひずみ始め、12時を超えてもゲインはほとんど変わらないというものです。
とはいえ、これらはもともと廉価版として作られたペダルということを考えると、ある意味仕方のない部分でしょうね。
BRATの場合「幅広い音作り」を求めるペダルではないと思いますし、出音自体はなかなか使いやすいので、かなり安く出回っていることを考えると、見つけたら買ってしまってもいいのかもしれません。
さて、BRATの「もう一つの使い方」をやってみます。これは楽して音楽のオヤジさんがやっておられる方法なんですが・・・まずはサンプルを聴いてみてください。
サンプル3
サンプルの1、2と比べると若干レンジが広がり、とくに高域方向が強調されているのが分かると思いますが、これはBRATを「プリアンプとして」使っています。サンプルの1と2はHughes&Kettner TUBEMAN IIのCh.1で、スピーカーシミュレータを通るミキサーアウトから録っていますが、サンプル3はスピーカーシミュレータも通さず、エフェクターから直接ラインで出しています。普通こんなことをすると、高域がガリガリしてあまりいい音にはならないんですが、BRATの場合は意外と「使える」音になっているのがおもしろいですね。
これはもともとベース用として設計された周波数レンジがうまくスピーカーシミュレータ的な働きをしているためだと思いますが、こういうことができるというのは、「非常用プリアンプ」であったり、「セッション等に1つ持っていくペダル」として使えるのではないかと思います。
Proco BRAT、なかなかおもしろいです。こんなおもしろいものをくださったなかぞのさんに感謝です。
見つけたら、是非試してみてください!