サウンドハウスさんが展開する、激安ブランド、PLAYTECH。去年の4月に、エフェクターが大量に発売されて、その驚異的な価格設定で大きな話題を呼びました。その後1年以上が経ち、だいたいペダルの評価も安定してきたところですね。そして、その中に1台、おそろしく高い評価を得ているものがあります。
それが、『HEAVY METAL』・・・。
あまりにもドストレートな名称の、ハイゲインディストーションです。今回、激安ディストーションの記事を書いてほしいと言われ、真っ先に思いついたペダルでもありました。そして、そのペダルが今、手元にあります。
というわけで、レビューしてみましょう!
PLAYTECH HEAVY METAL
こちらが、そのHEAVY METALです。PLAYTECH独特の共通筐体で、この価格帯にもかかわらず、ちゃんと金属ボディとなっています。ペダルの上下を大きなゴム足ではさみこんだ、独特の構造をしていますね。
搭載されるコントロールは、全部で6つ。LEVEL、DISTと、LOW、HIGH、そしてMIDDLEとFREQの3バンドEQとなっています。中域は簡易的なパライコになっていまして、これはBOSS MT-2が一般的にした手法ということになるんでしょうか。
フットスイッチは機械式に見えますが、電子式で、トゥルーバイパスではありません。見た目は、好みはともかく、あまり「美しいデザイン」というタイプではなく、B級エフェクターらしいものとなっていますね。
このペダル、上下の大きなゴム足は独特のネジが使われているんですが、これをめくると、裏側に普通のネジが出てきます。開けることができたので、さっそく中身を見てみましょう。
※ご注意:PLAYTECHペダルは、その構造上、分解の際筐体、またはジャック部等が破損する場合がありますので、あまりやらない方がいいです。
いきなりですが、こちらが基板となります。基板自体はかなりやわらかい素材でできています。が、それにしてもこのパーツ!どうですかw
正直私は、表面実装チップがたくさん出てくることを予測していたんですが、まさかこんな形とは・・・。
OPAMPは、JRC4560Dが、なんと計4つ!も使われています。アナログハイゲインディストーションならではの、多段フィルタ構造となっているようですね。クリッピングはダイオードで、1度だけおこなわれているようです。基板は計3枚で、メイン基板とコントロール計をとめる基板に分かれています。かなりパーツが多いという印象を受けました。
では、レビューいってみましょう!
- 操作性
筐体自体が大きく、ノブも2軸のものを使ったりしていませんので、コントロール性はとてもいいですね。LOW、HIGH、MIDDLE、FREQのコントロールがちょっといびつな形で並んでいるので、その点だけ、もしかしたら使いにくいと感じるかも知れませんが、各ノブのコントロール性は良好です。ちゃんと役割もしっかり分かれていて、思った通りに音作りができますね。
- サウンドレポート
では、サウンドを・・・というわけで、例によって動画でサンプルをどうぞ!
サンプルムービー
今回は適当に作ったドラムトラックを入れてみました。というのも、ハイゲインなサウンドって、どうもリズムトラックがないとしっくりこないんですよ・・・私の腕のせいでもあるんですがw
サンプルは3つ、すべてレスポールです。いつもサンプルは、素性が分かりやすいかと、ノブ全部12時、とかのセッティングなんですが、それだとこのペダルの本領が出なかったので、ちょっとだけ音作りに時間をかけてみました(30分くらいですがw)。簡単に解説しますと、最初のMetal Settingは典型的なドンシャリディストーションです。若干ハイを落として、ローを強く出しています。この形でハイを強くすると、ドンシャリの「シャリ」が強烈に出ます。それもまたおもしろいですよ。
続いてのHard Core / Heaviness Settingは、全域にわたって強調、特にローミッドを分厚くして、現代的なヘヴィネスサウンドを意識してみました。個人的にかなりお気に入りのセッティングです。さきほどのメタルセッティングと、このヘヴィネスセッティングは、ドロップDチューニングで録音しています。
そしてHard Rock Setting。こちらはレギュラーチューニングです。ハイをかなり下げ、ローミッドを強くしてゲインを低くしてみました。意識したのはマーシャル風サウンドなんですが・・・もともとがハイゲインディストーションということもあり、ゲインを下げてもちょっと硬めの、メタル風味な音になってしまいますね。まぁこういうこともできますよ、的な感じでお考えください。
しかし・・・この音がこんな価格で手に入っちゃっていいのかなぁ、という気がしますね。このクラスのペダルだと、ノブの効きが悪かったりで、なんか結局いじくっても音が変わってないってこともよくあるんですが、そんなこともなく、特にEQの効き方はかなり絶妙です。強烈すぎることもなく、コントロールしやすい効きの良さを持っています。
唯一の欠点は、これは仕方がありませんが、バイパス音でしょうか。おそらくバッファドバイパスになっているんですが、そのバッファがどうしても、価格の高いペダルに比べるとよくありません。私はループを使って接続していますが、お持ちでない方はこのペダルのためにループを買われるというのも、何か違う気がしますw
音質はとてもいいです。誤解をおそれずにいうと、クセをなくしたメタルゾーンですね。MT-2は、良くも悪くも、BOSSサウンドらしい音が出るのですが、そのBOSSっぽさを削り取るとこうなるのかな、という気がします。このペダルを「MT-2後継機」といって賞賛される方もおられるんですが、その気持ちはすごく分かりました。
ということで、PLAYTECH HEAVY METALでした。こういう激安価格帯のエフェクターって、おもしろいですね〜。多くのものは、どうしても定番製品の廉価版焼き直し的なもの(回路ではなく、音という意味で)が多いんですが、ときどきこうして、すごいポテンシャルを秘めた物が出てくるのがいいですね。
低価格帯のものは、基本的にどうしても広告費を削らざるを得ない部分があったりして、なかなか表舞台には出てこないんですが・・・その分「すごいもの」を見つけたときの達成感(?)も強いのかもしれません。
本当に、エフェクターって値段じゃないんですよね。
「音にこだわる」のなら、価格を気にせず、なんでも試してみないと本当にこだわっていることにはならないのだ。
Effector Book Vol.1 より
ってことですよ。やっぱりw(しかし、こうして引用してみると、口調違いすぎですね・・・。ちなみに別に名言でもなんでもないですw)